懐華樓(かいかろう)は、金沢ひがし茶屋街の中ほどにある金沢で一番大きな茶屋建築です。
いまも現役のお茶屋さんで、夜は「一見さんお断り」を通し、一晩に一組だけのお客様のおもてなしをしています。普段は中々入ることのできないお茶屋さんですが、昼は一般に広く開放されていて、建物の中を見学することができます。
兼六園下(兼六園の北側)からは徒歩15分ほどの距離なので、兼六園を訪れた後に立ち寄るのもおすすめです。
懐華樓の看板。奥にえんじ色ののれんが見えます。建物の中はどうなっているのかドキドキします。
玄関を入って正面に見えるのは、輪島塗の豪華な朱塗りの階段です。
そして階段を上ると漆塗りの黒の立派な屏風があります。ライトもきっと当時としてはモダンなものだったのだと思います。
階段の近くにある大座敷、朱の間です。床の間には、愛らしい加賀てまりが並んでいました。
朱の間の重厚な襖絵。お部屋によって襖の雰囲気が全然違います。
畳のへりが赤くて、小さな畳がかわいい市松の間。襖の大きさと比べてみると畳の小ささがよくわかります。お部屋も小さめです。
貴賓室である群青の間です。群青色の落ち着いた雰囲気のお座敷で、特別に身分のある方しか出入りできなかったお部屋だそうです。そんなお部屋に入らせていただけるなんて特別な体験です。
花嫁のれんと芸妓さんが使われる太鼓。花嫁のれんは主に石川県で婚礼に使われるもので、加賀友禅で作られているものが多いそうです。
芸妓の離れ控室。芸妓さんの控室で2間続きになっています。お化粧直しや三味線の調子合わせなどに使われるそうです。畳はよもぎ染め。おもてなしの部屋と違うところは、日々の芸妓さんの息遣いが感じられるところです。
2階の窓から見たひがし茶屋街の様子です。風情がありますね。
金箔畳のお茶室。日本で唯一の金箔織りの畳が使われているお茶室です。この畳は水引に金箔を巻き、その金の水引を井草の代わりに使って作られています。
まばゆいばかりの金色です。お茶の道具も金色。さすがにこの部屋は入口から見るだけで、入室はできません
見学後は懐華樓カフェではお抹茶セットをいただきました。
お抹茶セットについている「金澤の華」は、上品で優しい甘味がふわーっと口の中に広がります。
懐華樓カフェと売店「蔵」、懐華樓ネットショップ「懐華樓のお店」でしか買うことができないそうで、製造元のお店に行っても買えないそうです。お抹茶の器もとても素敵でした。
金箔が1枚器の表面を覆っている「黄金くずきり」「黄金ぜんざい」もあります。
蔵はお店になっていて、品物は女将さんが厳選されているのだそうです。
懐華樓のカフェでお抹茶セットで出されるお菓子や、金箔入りのコスメ、洋服にも和服にも合いそうなかんざしやピアスなどのアクセサリー、お酒、芸妓さんの名前の入った日本手ぬぐいなどを購入できます。どれも品の良さを感じるお品でした。
懐華樓の入館料は700円で、博物館のように捉えると高い金額かもしれませんが、簡単に足を踏み入れることのできない場所に入り、美しく洗練された物を見る機会と捉えると、私はむしろお得だと思いました。
懐華樓のあまりの豪華さとおもてなしの心に、思わず背筋が伸びるような感じがしました。北鉄バスの1日フリー乗車券を提示すると割引もあるので、ぜひ訪れてみてください。
旅データ
- 入館料:700円
- アクセス:城下まち金沢周遊バス(右回り)・北鉄バス「橋場町」バス停から徒歩5分
- URL:http://www.kaikaro.jp/